【レポート】第6回学習会★コロナ禍における遠隔実習の実際と学生の学び

講師: 産業医科大学産業保健学部看護学科 成人・老年看護学講座 佐藤亜紀先生
開催日時:2月5日(金)20時~21時30分
テーマ:コロナ禍における遠隔実習の実際と学生の学び
~卒業生を送り出す方と受け入れる方の相互理解に向けて~

<学習会のアンケート結果>

<感想・ご意見>

  • 具体的な遠隔実習についてお話いただき、ありがとうございました。学生にとってピンチがチャンスに変わる実習を作り上げていく先生方の努力と愛情を感じました。
  • 学生からオンライン実習についてどんなことをしているか、聞いていましたが、詳しい内容を聞けて勉強になりました。2022年卒業の学生からは、実習からの学びや病棟などの雰囲気を知る機会が少なく、希望科を絞れない、職場の緊張感を体感しないまま入職して本当に自分はやっていけるのかが不安と口にしていました。厚労省が今年から新型コロナの影響を受けた学生が入職後のリアリティショックを軽減するなどを目的とした卒後フォローアップ研修を計画しているようですが、どこまで効果的なのかイマイチ想像できません。先生方はどう思われますか?
    ▼ 新型コロナウイルスの影響に係る看護職員卒後フォローアップ研修事業【新規】
    https://www.janpu.or.jp/wp/wp-content/uploads/2020/12/MHLW-R3kangosyokuin-sotugo-followup.pdf
  • 当院も、今年度はほとんどの実習が中止となり、各学校ではオンラインでの実習を行ったと聞いています。しかし、実際については知りえていなかったので、今日の話を聞き、貴重な学びとなりました。 看護技術は、臨床に出てからでも遅くなく、学生時代に思考を鍛えることに力点を置くというのは同感です。考える力と看護観があれば、技術さえ身につけば実践はできるのではないかと思っていました。患者への興味・関心を寄せることができるかが課題ということは、看護観が育つ環境は臨床の場なのかな?とも思いました。 このような学生さんが入職した際は、ベッドサイドに行けるか、コミュニケーションが図れるかというところに注意をする必要があると感じました。そして、コロナ下での教育を合理化しているかどうかで、臨床に出てからのモチベーションや指導に対する反応も二分するのではないかと感じました。臨床の現場に持ち帰り、今回の学びを共有したいと思います。 貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
  • 本日も参加させていただきまして、ありがとうございました。 私は社労士なので、医学的なことは全く分からないのですが、労務管理の視点からということで、最近は「潜在看護師の復職支援」や「看護師の多様性を認める働き方」などについてお手伝いする機会を多くいただいています。本日のお話しで、「思考を鍛える」や「現場実習の差が出てくる」といった内容に、しばらく現場を離れている看護師さんへのエールにも繋がるのかなと思いました。大変勉強になりました。ありがとうございました。
  • 私のように全く異なった領域の者が聞いても得るものの多い1時間でした。心より御礼申し上げます。とりわけ臨地実習ができず、生ものの患者さんに触れないことによる患者に対する興味・関心が喚起されないのではというご指摘は非常によくわかります。逆に私どもの経験では、そのように他者に触れないからこそ勉強ができる(他者との接触が嫌なので/苦手なので、通常の授業は休みがちだったり、通学時間が長いので休みがちになる)という学生が少なくないことに、あらためて気づかされました。少人数に寄り添った(寄り添わなければいけないとされていた)教育システムの領域との違いを非常に強く感じさせられました。また、遠隔のほうが気楽に失敗でき、(時間をかけてそれを振り返りつつ)学びで身に着けるというお話は、サラリーマン時代を振り返り、とても感銘を受けました。最後の、学生が“コロナ禍での学習”をどう合理化できるかというお話は、私どもにも十分に当てはまるところですが、我々の教育研修会などでは話題にすらならない事でしたが、とても大事な視点だと思います。それをどのように学生に伝え、考えさせるかということの重要性を、教えていただきました。本当に異領域の者にとっても貴重なお話をいただき、感謝いたしております。
  • 産業医科大学の取り組みの鮮やかさ、4月、早期の時点での学長の決断、大事ですね。佐藤先生のオンライン講義に向けての真摯な努力に共感しました。本当に大変なことですが、乗りこなす努力が必至ですね。

<今後取り上げてほしいテーマ>

  • コロナ禍での病院の実態を知りたいです。(自施設は、職員が疲弊してしまい退職者が続出しています。)
  • 新卒で病院以外への就職を選択する学生への支援 ・厚労省の通知から考える看護系大学教員、大学院生への医療現場への支援のあり方(具体的にいつ・誰が・どのくらい・どこに・どんな支援をしたのか)
  • 臨床の方の看護研究の現状など
  • 潜在看護師の復職支援と現場での受入れ事例 など

アカデミア看護研究会 事務局より

多くの貴重なご意見ありがとうございました。それぞれのお立場からのお考えを頂戴し、改めて看護教育の在り方について再考する貴重な機会となりました。今年、卒業を迎える学生たちは、多くの不安と迷いの中で進み続け、今年ならではの強さを持った学生が卒業していくと信じております。一方、受け入れる側の臨床の皆様にとっては、今まで通りの卒後教育では対応しきれないのではないか、という不安もありつつ、さまざまな模索をしながら対応なさっていることと存じます。佐藤先生のご講義にもありましたように、今回のコロナ下での経験をいかに自分の中で合理化していけるか、教育側も臨床側も、まさにこれから、そこをどう育んでいくか、新たな局面になっていきますね。今回は、現実的に具体的にどのように遠隔授業を実施したのか、とても優秀な大学の事例をあげていただきましたが、実際には、大学間の差異は否めません。また機会を設けて、今度は別の角度から教育の情報をお届けしつつ、新しい卒後教育に関する検討もしていけたらと考えております。ご参加ありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

アカデミア看護研究会 事務局